こんにちは、一ノ瀬です。
今年からレース前は、しっかりとしたテーパリングを実施するようにしました。
『ピーキングのためのテーパリング』という書籍でテーパリングを体系的に学び、正しいテーパリングを行うことで、驚くほど簡単にピーキングが成功しました。
今まで試行錯誤してきた苦労は何だったのかと思うような、劇的な変化でした。
これからレースを控えたあなたも、今まさにテーパリング方法がわからず悩んでいませんか?
人から聞いた情報のみでテーパリングに取り組みピーキングが失敗していませんか?
ワイも、まさに同じでした。
WEBや人に聞いた情報をもとに、完全に自己流で行ない、いつもピーキングの効果を感じられず、「ピーキングってこんなもんか(;´Д`)」と悩んでいました。
特に、周りにテーパリングに詳しい知り合いがいないと、正しい方法が聞けないので余計に一人で悩むことになると思います。
でも大丈夫です、安心して下さい。
今回はワイのピーキング成功体験談から、テーパリングの正しい方法まで、できるだけ丁寧にまとめてみました。
- 自己流テーパリングでのピーキング
- ピーキングには正しいテーパリングが必要だった
- 正しいテーパリングのポイント
- 正しいテーパリングで成功したピーキング
- テーパリングの弱点
- 特殊なシナリオでのテーパリング
- まとめ:正しいテーパリングを実施することでピーキングは成功する。ピーキング時には圧倒的パフォーマンスアップが見込め、5秒間パワーは65Wも向上した。
自己流テーパリングでのピーキング
自己流はあまりに酷すぎた
ワイはこれまでもレース前にテーパリングを行っていました。
完全自己流のオレオレ理論。
ピーキングとは、脚が極限まで疲労した状態から一気に回復させることにより、足が超回復し、フレッシュな状態になっていれば良いと考えていました。
その為には、休息日の前日までに1,400[TSS]程を休みなくトレーニングし、レース前にいきなり1日~4日間その時の足の状態に合わせて完全休息するだけというお粗末な内容でした。
その時は「ピーキング」と「テーパリング」の違いも正しく理解できておらず、要は疲労が抜ければ(TSB+5ぐらいになれば)いいんだよね!という状態で、いつもレースに挑んでいました。
ピーキングにはいつも失敗
その結果、ピーキングにはいつも失敗していました。
あるときは休み過ぎて(疲労を抜きすぎて)レース当日に走り始めたらすぐに肺が痛くなり(👈冬にいきなり高強度で走り始めるとなるアレのこと)、思うように力が発揮できず。
またある時は、レース前に脚を極限まで疲労させるため「600ブルベ」に参加し、その後1週間完全休息を行ったにもかかわらず、脚の疲労が抜けず、めちゃんこ疲労が残ったままレース当日を迎えFTPがかなり下がっていたこともありました(2018年富士ヒル(´;ω;`)ウゥゥ)。
このようなことが続いたため、テーパリングに意味はあるのか(ただの休息日じゃねぇか(# ゚Д゚))、とピーキングは本当に起こるのか?と半信半疑になっていました。
ピーキングには正しいテーパリングが必要だった
「テーパリング」と「ピーキング」の違い
ワイは「テーパリング」と「ピーキング」の違いを正しく理解できていませんでした。
そもそも、テーパリングとは単なる疲労抜きのことで、疲労抜きは一気に行う方が効果的で、休息日には大量の炭水化物をとって超回復することで高いピークが作られる。
これがピーキングだ!(๑• ̀д•́ )✧+°ドヤッ
などという誤った理解をしていました。恥ずかしい…
しかし、実際は「テーパリング」と「ピーキング」では全く違う種類の言葉であり、先に紹介した書籍には以下のように言及されていました。
2つの言葉の意味の違いについて一番わかりやすい捉え方は,「ピーキング」は目的を示している言葉で,「テーパリング」は手段を示している言葉である,というものです。 つまり「ピーキング(狙った重要な試合にベストのコンディションで臨めるように,コンディションを上げていき,そのピークを合わせる)」という目的を達成するための手段の1つが「テーパリング(徐々に練習・トレーニングの負荷を減らしていく)」であるという考え方です。
つまり、「ピーキング」は「テーパリング」のみで達成されるわけではなく、それは「減量」や「カーボローディング」、「心理的なコントロール」等で構成される複合的なピークによるベストコンディション状態を表すのです。
さらに、「テーパリング」とは徐々に減らしていくという言葉なので、一気に減らすというのはそもそも言葉的にも矛盾しており、完全に誤った方法だったのです。
近年では、「ピーキング」を行うために最も効果が大きい手法が「テーパリング」であると考えられているために、スポーツ業界では今重要視されているのです。
したがって、正しい「テーパリング」を学ぶことは他の何よりも重要で、我々ローディーたちが躍起になって(飢餓に耐えながら死に物狂いで)取り組んでいる「減量」よりも先に学ぶべきものだったのです。
正しいテーパリングのポイント
「練習量」と「練習頻度」
これまでのテーパリングでは、「練習量」と「頻度」を一気に減らしていました。
↓レース2週間前の「練習量」と「練習頻度」がこちら
月:100[TSS]
火:100[TSS]
水:130[TSS]
木:130[TSS]
金:休息日
土:300[TSS]
日:200[TSS]
↓レース1週間前の「練習量」と「練習頻度」がこちら
月:休息日
火:45[TSS]
水:45[TSS]
木:45[TSS]
金:休息日
土:休息日
日:レース当日
にもかかわらず、レース当日に疲労が残ることが多かったです。
↓しかし、実際の正しい「練習量」と「練習頻度」のコントロールはこちら
- 練習量は41~60%程度減らす
- 頻度はできるだけ(80%以上)維持する
これが正しいコントロールだったのです。
「運動強度」
ワイは、テーパリングは疲労を抜かないといけないのだから、自転車競技に当てはめると「リカバリーライド」的な回復走が正しい練習内容だと思っていました。
でも、勘違いでした。
↓実際の正しい「運動強度」のコントロールはこちら
- 運動強度は維持する
- 最大筋力発揮種目の場合は「1RM」に対する割合を維持する
- 有酸素運動種目の場合は「VO2max」や「最大心拍数」に対する割合を維持する
つまり、ロードレーサーの場合は、テーパリング期間中であってもVO2maxパワー強度は維持し、スプリンターに関しては最大スプリントパワーも維持するということが、正しいコントロールだったのです。
「実施期間」
テーパリングはレース3日前ぐらいに開始すれば(完全休息させれば)終わるだろうといつも考えていました。完全休息中はサウナなどで血流を良くして、心拍は上げておけば問題ないと。
それも大きな勘違いでした。
↓実際の正しい「実施期間」のコントロールはこちら
- テーパリング期間は一般的には2週間弱(8日~14日間)
- 最適な実施期間は、個人差及びこれまでの疲労蓄積具合(CTL)によって異なる
つまり、一般的なテーパリング期間は8日~14日間かけてゆっくり疲労を抜いていくことが必要だが、最適な期間設定には個人差があるため、これまで継続して上げてきたCTLを考慮して設定することが必要。
ワイは、ここまでほぼ全て勘違いしており、「もっと早く学んでおけば」と本当に心から後悔しました。
悔い改めて、今年のレース前は正しいテーパリングを実施しました。
正しいテーパリングで成功したピーキング
短時間高強度パワーの圧倒的向上
実際にハルヒル前、富士ヒル前には、書籍で学んだテーパリング方法を基に、テーパンリグプランを作成し、実際に取り組んでみました。
トレーニング強度を落とさないテーパリング期間は初体験だったため、最初本当に疲労が抜けるか不安でしたが、結論から言って、圧倒的パワー変化がありました。
ワイは毎週木曜にZwiftレースを実施しているのですが、そこで収集したレース中のパワーデータをテーパリング前後で比較してみました。
↓テーパリング前後のパワー変化はこちら
同じコースプロファイルではないし、参加者もレース展開も異なるので純粋に比べることはできないのですが、テーパリング後のレースの方が苦しい展開だったのは間違いないです。※Misaki選手やMatsuki選手がいたので(;'∀')
そんな中、レース中にアウトプットできるパワーが大幅に上がっていたのです。
特に短時間高強度の20秒以下パワーが圧倒的な向上を見せていました。
これには本当に驚き、感動しました。
どちらのレースも長時間のヒルクライム後のゴールスプリントで、汗と鼻水を垂らしながらモガいたデータなのですが、テーパリング後の方が圧倒的ハイパワー5秒間 821W(+65W)というアウトプットができています。
レース中のアタックの打ち合いで発生したVO2max領域(5分間~10分間)に関しても50W程度向上しているではありませんか!!!!Σ(゚д゚;)
【※注意※】これまでのAll-Timeパワープロファイルを全て更新したわけではないです。レース中にアウトプットできていたパワーを同時に更新したことは事実です。
正しいテーパリングでピーキングが初めて成功したのです。
↓その時のZwiftレースはこちら
実施したテーパリング計画
ここまで大幅にパフォーマンス向上をしたのは初めてでした。
もちろん、取り組んだテーパリング計画も初めてのものでした。
実施期間
これまでのトレーニング期間と積み上げたCTLを考慮するとかなり疲労が溜まっていたので、テーパリング期間は最大の14日間確保することにしました。
レースが日曜なので、逆算して2週間前の月曜日からスタートすることにしました。
練習量と運動強度
テーパリング開始前の週では、1,000[TSS]稼いでいたので、2週間の間50%前後の練習量に落とすように調節しました。
1週目は500[TSS]を少し上回る練習量、2週目は500[TSS]を少し下回る練習量に調節しました。
運動強度は変えずに全体のIFを大幅に下げるように調節。
しかし低くなり過ぎないように、IFが0.7を下回らないトレーニングメニューを選択しました。
↓トレーニング計画はTRAINERROADで立てました
実際のトレーニングメニュー
基本的な練習メニューの枠組みは変えずに上記で示した「量・強度・頻度」をコントロールするという内容です。
ちなみに、土日は一切外を走らずインドアトレーニングのみで、余分な疲労(往復の移動疲労)を貯めないためにもチーム錬には参加していません。
↓練習メニューの構成はこちら
【1週目】
月: 50[TSS] リカバリー
火: 80[TSS] VO2maxインターバル
水:100[TSS] FTPインターバル
木: 80[TSS] Zwiftレース
金:休息日
土:100[TSS] FTPインターバル
日:100[TSS] Zwiftレース
【2週目】
月: 50[TSS] リカバリー
火: 50[TSS] VO2maxインターバル
水: 80[TSS] FTPインターバル
木: 80[TSS] Zwiftレース
金:休息日
土: 50[TSS] リカバリー
日:レース当日
実施していたメニューを「リカバリー」、「VO2maxインターバル」、「FTPインターバル」ごとにそれぞれご紹介します。
【リカバリー】
こちらのメニューでは、リカバリーしつつもアタックやスプリントのハイパワーを出すことでトレーニング中の最大パワーは下げることなく疲労が抜けました。
【VO2maxインターバル】
こちらのメニューでは、VO2max以上のパワーを繰り返し出すことで強度は通常通り確保しながら、リカバリータイムが長いので1時間のトレーニングにも関わらず獲得TSSはなんと56[TSS]という低ボリュームな練習メニューとなっていました。
【FTPインターバル】
こちらのメニューではFTPパワーの持続時間を5分間と短くして、レスト時間を同じ5分間取ることで、疲労の蓄積を最小限に抑えつつもレース時と同じパワーをアウトプットし続けられるように取り組めるメニューでした。
これらの他に取り組んだメニュー「Zwiftレース」では、10km程度のフラットコースをバカスカハイパワーを繰り出し、30分未満で終わる内容でレース感を養うと共に刺激を入れておりました。
↓結果、ピーキングには成功したのですが、レースには失敗(DNS)し、モチベーションが無くなりかけました。
テーパリングの弱点
ここまで正しいテーパリングでピーキングを行ってきたのですが、実は弱点があります。
それは、練習量が落ちること。
これは当たり前なのですが、絶対的に強くなるわけではなく相対的に強くなっているだけにすぎません。
テーパリングとは、これまで蓄積された疲労を抜く際に、フィットネスレベルの低下を最小限に抑えつつ疲労を抜くことにより、疲労時よりも高いパフォーマンスが出せるという単なる手法にすぎません。
したがって、ここまでトレーニングで積み上げてきたパフォーマンスが発揮されるだけなので、それがAll-Timeパワープロファイルを更新したとしてもこれまでのトレーニングの成果となります。
つまり、目標レースを年間数レース(2,3レース)に絞ってテーパリングは実施しないと、練習ボリュームが確保できずに絶対的な成長が望めないのです。
テーパリングは絶対に結果を出したいレースには向いていますが、定期的に参加するレースには向いていないのです。
特殊なシナリオでのテーパリング
テーパリングは、年間通して数レースに絞るべきと言いましたが、それらレースの日程間隔が空いていない場合や、けがや体調で十分にCTLを詰めていない場合も十分考えられます。
そのような場合、それぞれのシナリオでテーパリング方法も変えていかなければならず、より複雑な計画が必要となってきます。
【想定される各シナリオ】
- テーパリング開始前にあまり練習・トレーニングが積めていない場合
- テーパリング開始前に通常以上の疲労が蓄積している場合
- ピーキングのターゲットとなる重要度の高い試合が複数あり,その間が数週間しかない場合
- 重要な試合が1日で終わらず,数日間から数週間続く場合
- テーパリング以外のピーキング手法(減量やカーボローディング等)と同時に組み合わせる必要がある場合
これら様々で特殊なシナリオは、我々も今後すぐに直面することだと思います。
実戦では、教科書通りではなく、応用の利いたカスタマイズが必要になることでしょう。
そんな時、この書籍はトレーニング計画を立てる強い味方となってくれます。
それぞれの手法については、実際にこちらの書籍で学んでみてください。
まとめ:正しいテーパリングを実施することでピーキングは成功する。ピーキング時には圧倒的パフォーマンスアップが見込め、5秒間パワーは65Wも向上した。
いかがだったでしょうか。
今回は、ワイのピーキング体験談とそのテーパリング手法について話しました。
重ねて言いますが、自己流のテーパリングは、必ずと言っていいほどピーキングに失敗します。
WEBなどの情報を基に自分自身で試行錯誤して徒労に終わるよりかは、体系的に学べる書籍に先行投資する方が良いでしょう。
是非、この機会に読んでみてください。
間違いなく言えるのは、どうせ学ぶなら早い方が吉です。
特に、しばらく自己流で試行錯誤してテーパリングした後に、書籍で学ぶよりは、
最初から信頼のおける(出展元の確かな)書籍で体系的に学んでスタートした方が非常に効率的になります。
ピーキングは年間通して何回も行えるものではないですからね。
ワイは、ここまで自己流で試行錯誤してきたことを後悔しましたし。
正しいテーパリングでレース本番で、一緒に最高のパフォーマンスを発揮しましょう。