こんにちは、一ノ瀬です。
ワイは最近、3年間毎日付き合い続けていた楕円を卒業しました。
理由は、色々あります。
※詳細は後述
一番は「楕円と真円で有意なパワー差がない」ことです。
ワイも使い始めた当初は、出力されるパワーが段違いなので興奮を覚えました。
しかし、勘違いだったのです…
今回は、ワイが経験した「楕円」と「真円」の違いについて、詳しくまとめてみました。
「楕円」と「真円」の違い
見た目の違い
まず、「楕円」と「真円」では大きく見た目が違います。
当り前ですが、「楕円」はチェーンリングが楕円形、「真円」はチェーンリングが円形となっています。
楕円チェーンリング(O.symetric)
真円チェーンリング(Dura Ace 9100)
「真円」に様々なメーカーがある様に、「楕円」にも数多くのメーカーがあります。
【主要メーカー】
- アブソリュート
- Ridea
負荷変化の違い
「真円」の場合、負荷のかかり方がどのポイントでも同じようにかかりますが、「楕円」の場合は違います。
◆負荷変化の位置
負荷は、クランクにセットした時の長軸と短軸の位置によって変わります。
ワイが使っていたO.Symetricでは、9時/3時に長軸が設定されているので、一番踏力が高いポイントでギアが重くなるように設計されています。
そして、一番踏力が弱くなる(デッドポイント)ところ(6時/12時)では、短軸が設定され、ギアが軽くなるように設計されています。
他の楕円チェーンリングの場合、取り付けの際に自分で角度を決められたり、コンピューターが自分のペダリングを解析して、最適な角度を算出した後にチェーンリングを製作出来たりと、各社いろいろなサービスがあります。
◆負荷変化の大きさ
負荷変化の大きさ(負荷変化量)は、楕円チェーンリングの楕円率によって変わってきます。
O.Symetricの場合は、楕円率1.215で作られており、52Tのチェーンリングを真円換算した場合、長軸と短軸では、(仮想的に)最大57T/最小47Tも変化します。
かなり大きな変化量のため、この変化量を利用して、短軸の軽いポイントで勢いをつけたまま長軸の重いポイントでしっかり踏み込む、ケイデンスを上げたパワフルなペダリングが可能となります。
その他各社の楕円チェーンリングは、楕円率1.05~1.2ほどの様々なバリエーションが展開されています。
「楕円」のメリット・デメリット
「楕円」のメリット
- ケイデンスが上がるため乳酸が溜まりにくい
- パワーが上がる(※勘違い)
「楕円」の一番のメリットは、ケイデンスが上がる(平地103rpm/登坂88rpm)ので乳酸が溜まりにくいという点です。
しかし、これは真円に戻した後に感じたのですが、ケイデンスが低く(平地98rpm登坂80rpm)なり乳酸が溜まっていても脚は回ります。
※溜まりすぎるとカチカチで回らなくなりますが、、。
結局、乳酸の除去は心肺機能が担当するので、除去能力自体は心肺機能によります。
極端に60rpm以下等にならない限りは、脚は回ります。
ここに関して、「楕円」はペダリング効率が上がるのでケイデンスが上がるという意見を見聞きすることがありましたが、ワイの場合、特にペダリング効率に変化はありませんでした。
また、最大のメリットであるパワー向上が勘違いだったことで、ワイにとって「楕円」のメリットはなくなりました。※詳細は後述
「楕円」のデメリット
- チェーン落ちしやすいため、レース中に落ちないかヒヤヒヤ
- FDとの緩衝(音鳴り)が激しい
- 取り付けられるパワーメータが限られる
- チェーンリングが高価
- 負荷のかかり方が平地と登りで変わる
- 下死点で負荷が抜けるのでスプリントパワーが下がる
「楕円」の最大のデメリットであるチェーン落ちしやすい点が本当に最悪です。
1年間努力を続けて、いざ本番のレースでチェーンが落ちたことにより目標を達成できない場合、取り返しがつきません。
これは絶対に避けたいですし、負けの理由(言い訳)にもなりません。
また、ゴールスプリントに絡んだ際に、「楕円」の場合、下死点で負荷が抜けるため最大パワーをアウトプットできないのです。
※ここで同じトルクをかけ続けるのは至難の業
これが理由で、ゴールスプリントで競り負けることは避けたいです。
さらには、勾配変化があると、「楕円」の場合はチェンリングの長軸、短軸で負荷ポイントが相対的に変わってしまうため、それに対応して踏み方も変える必要があります。
勾配が上がるにつれて足を前に突き出すようなペダリングを入れていく必要があります(踏み込むポイントが早くなる)。
ペダリングを変化させながら走る難しい乗り物となります。
※3年も乗っていれば慣れますが。
しかし、そういったデメリットがあったとしても圧倒的なパワー変化をもたらすので、我慢していました。
「楕円」のパワー変化の調査と考察
ワイは、真円から楕円に交換した際にパワーが20Wほど向上したのを今でも覚えています。
その後、3年間も一緒に過ごしてきたので、踏み慣れていましたし、真円とのパワー差について深く考えていませんでした。
しかし、ふと伸び悩んだときに思ったのです。
もしかしたら、楕円が原因ではないか?
もちろん、そんなことはありませんでしたが、これをきっかけに、「楕円」と「真円」のパワー差が本当にあるのか調べてみることにしたのです。
以下のLAPログは、「楕円」と「真円」それぞれで、固定ローラー(Tacx Genius)を用いて10min走をした際のGARMINのデータ(データは2018年8月に計測)をTrainingPeaksで見たものです。
※パワーメーターはVector2
※計測はERGモード250W縛り
【楕円チェーンリングの場合】
⇒ 10min AVG PW 283W HR 160bpm
【真円チェーンリングの場合】
⇒ 10min AVG PW 261W HR161bpm
上記の結果より判ること
- GARMINのVector2はハッピーメーター
- 「楕円」はTacxに比べて33Wもパワーが高い
- 「楕円」は「真円」に比べてパワーが高いが心拍は低い
上記の結果から、まずTacx GeniusのERGモード250W縛りでローラーを実行しているにもかかわらず、Vector2計測では260W以上出ていますので、そもそもVector2はハッピーメーターであることが判ります。(※一応Tacxが辛口メーターであることも考えられる。これは相対的なパワー差でしかないので何とも言えない。どちらも絶対的な計測装置ではないことをご理解いただきたい。)
「真円」はTacxより11W程高く出ているが、これはパワーメーターの計測誤差5%程度に収まるので、誤差と考えられる。
しかし、「楕円」の場合、Tacxに比べて33Wもパワーが高いので、これは誤差の範囲を超えている(乖離13.2%は誤差ではない)。
何らかの要因があるから異常に高く出ることが判る。
ワイが体験したパワー向上は、これです。
この数値だけを見たら楕円を使い続けることが判るでしょう。
しかし、よくよく考えてみると、Tacx GeniusはERGモード250W固定なんですよ…
明らかに絶対的なパワーが向上しているわけでは無いのです。
なにかがおかしいんです。※もしかしたら楕円はペダリング中の角速度が変わるからパワー計測がおかしくなる?(知らんけど
この結果をパワー計測Tacx Geniusで整理した場合
という結果となり、楕円のメリットねぇやん?という考えに至り、この度「楕円」を卒業することとなりました。
まとめ:楕円チェーンリングに有意なメリットはなかった。パワーが高く出ていたのは勘違いだった。
いかがだったでしょうか。
今回はワイが楕円を卒業した経緯を調査結果と伴にまとめてみました。
これは、素人のワイが調べた結果のため、間違っている点もあると思います。
ただ、一つ言えるのは、3年間使ってもそんな有意なメリットは感じなかったし、デメリットが大きく目立ったという点です。
「楕円」と「真円」も慣れがあるので、交換した際はペダリングの慣れが必要になってきます。
そこに適応する時間が非常に惜しいので、今日まで楕円を使い続けてきた理由があります。
どちらを使うか決めた際は使い続けてしまうことをおすすめします。※アウター真円、インナー楕円のような使い方はNG
しかし、何事も自分自身で試してみることが重要なので、気になる方はご自身の脚で実際に確かめてみましょう。
そして、宜しければ、実験結果をワイにも共有いただけると嬉しいです。
ワイの今シーズンの残レースは真円で行きます。
皆さん、引き続き応援宜しくお願いします。